本研究の目的は、研究者が開発し信頼性・妥当性を確保している"妊娠期快適性尺度"(武石、2010)を用い、妊娠経過による快適性の推移、および胎動の有無による快適性の変化を明らかにすることである。平成23年度は平成22年度2月より行らている本調査を継続して実施した。本調査で用いた質問紙の内容は、妊娠期快適性尺度と、胎動自覚の有無を含む基礎データとした。妊娠初期、妊娠中期、妊娠末期の3地点でデータをとる縦断的研究であった。このため、妊婦健康診査を行っている外来、および、対象妊婦が入院した場合には、病棟でも質問紙を配布した。無記名自記式質問紙は、IDにより連結可能匿名化がなされ、研究者がIDと対象者の連結表を管理した。 全3回のデータを得られた対象者数は、本調奄開始から平成24年3月までに、108名であり回収率は28.8%であった。得られたデータは妊娠各期においてデータ分析し、第13回日本母性看護学会学術集会、および、第31回日本看護科学学会学術集会にて中間成果報告を行った。また、本調査を完結した108名においては、妊娠各期の快適性の関連を反復測定等を用いて分析し、これを15^<th>East Asian Forum of Nursing Scholarsにて成果発表した。 妊娠期の快適性は、従来の妊娠期の否定的な側面を測定するのと異なり、肯定的な側面を量的に測定していることに意義がある。また、本研究は縦断的研究であることより、妊娠期の快適性の推移やその要因を詳細にとらえることができたと考える。
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