研究課題
本研究は、機能性精神疾患に関与するクロモグラニンB(CHGB)の機能の解明を目的とする。1)chgb KOマウスの精神神経行動学的解析:chgb KOマウスを作製するべく、昨年度遺伝子変異導入ES胚の譲渡を受け、本学にてキメラマウスの作製を行った。キメラマウスより、生殖細胞系列に変異を伝達された個体を得て、Creドライバーマウスとの交配後、全身chgb KO個体を得る予定であったが、キメラマウスより、生殖細胞系列に変異を伝達された個体を得ることができなかった。(キメラマウスに精巣奇形があったため)。そこで、chgb KOマウスを有する研究機関より、KOマウスの精子を輸入し、KO個体の発生を進めている。2)異常タンパク病としての神経変性疾患におけるCHGBの役割の検討:ALSモデルマウスとして確立されているヒト変異型SOD1 Tgマウスとchgb KOマウスとの交配実験を行い、SOD1 Tg×chgb KO遺伝子型個体について組織や行動の変化を解析し、ALS症状が改善されるかを検討する。本年度は、ALSモデルマウスとして、B6,Cg-Tg(SOD1*G93A)1Gur/Jの♂ヘミ個体を導入し繁殖を行っている。本年度は、実験テーマ1)、2)とも実験動物の準備に大半を費やしたため、ヒト統合失調症患者サンプルを用いた大規模関連解析、疾患と血漿CHGB濃度との検討、および血漿CHGB濃度と精神症状スコアとの関連の検討を行った。統合失調症患者2413名と健常者2852名を対象に、CHGB遺伝子領域とその上流・下流それぞれ2kbについて、Haploviewプログラムを用い8つのTag-SNPを選出し、遺伝子型を決定した。rs236141において、男性統合失調症患者と男性健常者の間でP=0.001という有意差を得た。この遺伝子型と血漿CHGBの間には関連は認められなかったが、血漿CHGB濃度は統合失調症患者群において有意に高かった。また、HSCL(Hopkins Symptom Checklist)によるストレス反応評価において、心身症状・対人関係過敏症・抑うつ症状の重症度とCHGB濃度は有意に相関していた。今後は、chgb KO個体が得られ次第、実験テーマ1)、2)に取り組んでいく予定である。
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