平成22年度は、先行研究、文献検討、看護職・介護職・管理者へのインタビュー調査とその分析をもとに、介護老人保健施設における看護職と介護職の協働の実態を明らかとした。また、その実態をもとに、協働パターンが明らかとなりつつある。以下に、協働の実態の概要を述べる。 まず、介護職は、入所者の生活を熟知しており、それを看護職に教える場合があること、一方で看護職への質問をする際に下調べをしたり、看護職に言いにくいことは言わなくて済むように工夫することがあること、また介護職にとって看護職は怖い存在であるとともに、意見を一致させたいとも思っている実態が明らかとなった。次に、看護職は、介護職に対して提案したり、具体的な観察ポイントを伝えたり、指示したりするが、指示をしない看護職もいること、介護職への医療に関する説明を丁寧にしていること等の実態が明らかとなった。また、介護職が曖昧さを感じる実態と看護職が医行為に責任を持とうとする実態から生じる苦悩があることが明らかとなった。看護職と介護職の法制度および理論ともに、看護とは何か、介護とは何か、さらに看護と介護の異同が確固たるものとされていないこと等を要素として、介護職に曖昧さを、両職種に苦悩を感じさせていることが示唆されている。 現在、介護老人保健施設における看護職と介護職の協働パターンの適用可能性の検証及び協働パターンと職務満足度との相関の検証を目的として、郵送法による質問紙調査の実施段階にある。
|