研究概要 |
介護老人保健施設における看護職と介護職の協働パターンと職務満足度の関係を明らかにするために、看護職および介護職を対象に、無記名式郵送法による調査を行った。看護職1,000名、介護職1,000名に対して送付した調査票のうち、412名からの回答を得た。協働パターンについて、「日常の排泄ケア」「深夜の排泄ケア」「入所者の着替え」「遠足やクリスマス会等以外の日々のレクリエーション」「浴場で入所者の体を洗う」の5つの項目について対象者の施設のケアの方針を回答してもらい、その回答パターンを基に、ペア型、独立型、ペア・独立共存型の3つの協働パターンに分けた。大阪教育大学教育学部教養学科安達智子准教授が開発した「職場環境、職務内容、給与に関する満足感測定尺度」のスケール5)を、開発者の許諾を得て使用した。その結果、介護職において独立型よりもペア型の方が職場環境の満足度が高いという傾向が認められた。 介護職において、独立型よりもペア型の方が職場環境の満足度が高いという傾向が認められたことから、介護職の役割拡大が進む現在の社会的背景のなかにあって、介護職が単に独立して業務を行うことのみを推進するのではなく、看護職と介護職がペアになってケアを行うことも重要な視点であることが示唆されている。その一方で、ペア型には「看護職が介護職と同化し、看護職が入所者の熱発等の異変に気付くのが遅くなることがある」というような不利点があることから、入所者にとってのケアの質と、職員の職務満足度をともに向上させるような協働の在り方をさらに検討し、創出していくことが求められている。
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