1)Tenomodulin(Tnmd)の歯周靭帯における発現の確認および機能評価 (2)Tenomodulin機能解析 前年度研究にてNIH3T3細胞にTnmd遺伝子を導入しすることで、細胞接着が増強されることが認められた。本年度では、この細胞接着効果がTnmdの導入によるものであることを検証する目的で、野生型(WT)マウスおよびTnmdノックアウト(KO)マウスよりMEFを採取し検討した。TnmdKO細胞ではWT細胞と比較して、細胞外基質であるコラーゲンおよびフィプロネクチン表面処理培養プレートに対する細胞接着率が減少した。以上から、Tnmdが細胞接着に影響し、増強する効果があることが示唆された。 さらに、新たに確認されたTnmdの機能をより詳細に解明すべく、Tnmdの細胞外ドメインの欠損変異体を作製し、細胞接着に対する効果を検討した。細胞外ドメインとして知られるC末端ドメイン(CTD)、BRICHOSドメイン(BRICHOS)、潜在的酵素切断部位(CS)の三つの領域をそれぞれまたはすべてを欠損させた変異体を作製した。これらをNIH3T3細胞にトランスフェクションしたところ、CTD欠損変異体とTnmdと比較して細胞接着効果が維持された。一方で、BRICHOS欠損変異体、CS欠損変異体、細胞外ドメイン欠損変異体は細胞接着効果が消失した。これらの結果から、従来より知られていたC末端ドメインはこの細胞外基質に対する細胞接着の増強には直接関与せず、BRICHOSドメイン、潜在的酵素切断配列が関与していることが示唆された。 今回新たに発見されたTnmdの機能は現在までに報告がなく新規の発見である。Tnmdの細胞接着への関与は腱・靭帯繊維芽細胞の生体内での機能であるコラーゲン繊維束のリモデリングに関連することが予想され、今後更なる機能解析を検討中である。
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