研究概要 |
これまで私たちは、亜キレーター用いた検討により、好塩基球の脱顆粒やサイトカイン産生に亜鉛が関与する可能性を明らかにしてきたが、今年度は、好塩基球のメディエーター産生の、亜鉛関連分子による制御機構を解明することを目的としている。好塩基球のメディエーター産生能であるが、ヒスタミンやIL-4などのサイトカイン産生については報告があるが、他のメディエーターについては十分な解析がなされていない。そこで私たちは、まずマウス好塩基球のメディエーター産生能について検討を加えた。結果、IgE受容体依存性の刺激によりマウス好塩基球はプロスタグランディン等のアラキドン酸を産生することを明らかとし、学会にて発表した。(実績参照)次に、好塩基球の活性化への亜鉛関連分子の関与を検討するために、マウス骨髄よりフローサイトメトリーにより分離してきた好塩基球を用いて、マイクロアレーやリアルタイムPCRにより検討した結果、亜鉛トランスポーターの内、ZnT1,2,5,6,7、Zip6,10,13,14が、またメタロチオネイン1,2が発現することが明らかとなった。またこれらのうち特にZnT5、Zip6が高い発現を示し、メタロチオネイン1,2の発現はIgE受容体依存性の刺激により上昇を認めることがわかった。これはZnT5,Zip6,メタロチオネイン1,2がメディエーター産生の制御機構に関与する可能性を示唆している。さらに、ZnT5,Zip6,メタロチオネイン1,2のそれぞれの欠損マウスより骨髄を分離し、IL-3存在下にて培養した培養好塩基球を用いて、まずはサイトカイン産生性について検討を行ったところ、ZnT5欠損マウス由来とメタロチオネイン1,2欠損マウス由来の好塩基球においてIL-4の産生性が減弱することが、ELISAやリアルタイムPCRによる検討の結果明らかとなった。Zip6欠損マウスも、現在検討中である。
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