研究課題
注入型ポリウレタン(PUR)Scaffoldの骨欠損部移植実験:全身麻酔下に8週齢ラット大腿骨を露出させ、大腿骨遠位部に同様に3mmのmonccortical骨欠損を作成し、欠損部にisocyanateとresincomponentをシリンジ内で混ぜ合わせた後に、18Gの注射針をとおして注入した。10分後には安定して重合が完成し、Scaffoldの形成が観察された。電子顕微鏡写真造、組織写真にて多孔体構造が確認された。同様に、8週齢ラット大腿骨に注入型PURを移植し、移植後4週にラットをSacrificeし、欠損部の骨形成について観察を行った。マイクロCT、組織写真による評価では、Scaffold形成が良好な例では、良好な骨形成を認めた。Bone anabolic effectを有するスタチン(ロバスタチン)を加えた例では骨形成が促進される傾向にあった。またPURにハイドロキシアパタイト(HA)およびトリカルシウムフォスフェート(TCP)を付加することにより、力学的強度が得られることを確認した。また同時にHA、TCPとの複合PURはin vitroにおいて骨芽細胞の分化を促進させ、8週齢ラット骨欠損モデルを用いたin vivoモデルにおいても、良好な骨伝導性が得られることを確認した。これらの実験から、骨欠損部に注入型のPURを移植することにより、欠損部に骨組織を形成する前駆細胞の足場ができ、欠損修復に寄与しうること、また注入型PURは骨形成を促進させる様な薬剤の担体として有用であることが確認された。またHAやTCPと組み合わせることでも、力学的強度や骨伝導性が向上することがわかった。今後、力学的強度やDegradationの速度、付加する薬剤の量の最適化などが必要であるが、本研究は骨欠損修復の新しい治療の可能性を示した。
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