研究概要 |
本研究の目的は非侵襲的にかつ簡便に嚥下機能を評価する方法の開発である。 この嚥下機能を評価する簡便な方法として、Piezoelectric Pulse Transeducer(以下PPT)を頸部に貼付して同部の動きを電気信号として出力し、咽頭期の嚥下運動を解析する方法が考案されている。研究協力者らは、PPTから出力された電圧とVF画像とを同時比較して、PPTの嚥下機能評価についてその有用性を報告してきた。本開発研究では、PPTのセンサー部分がフィルム状になったピエゾフィルム(東京センサー社)を使用した。ピエゾフィルムとは柔軟性のある圧電素子の一種である。ピエゾフィルムの嚥下機能評価についても報告があり、研究協力者らは嚥下時にPPTとピエゾフィルムは近似した電圧波形が記録できることを報告した。以上の先行研究の結果から、在宅における患者自身での使用を考慮し、小型でピエゾフィルムを用いた嚥下機能評価訓練装置(ピエゾセンサーPC入力装置)を試作した。正常者の嚥下機能をこの試作機で評価可能か検討した。この嚥下機能評価訓練装置を用いたRSSTでの嚥下運動の検出率は91.5(%)であった。よって本試作機では、ピエゾフィルムの湾曲の大きさから出力される電圧値によって、嚥下機能の評価ができる可能性が示された。RSSTを行う前に口腔水分計にて口腔乾燥状態を確認してから分析を行った。VFと同時分析も開始した。本結果は、「ピエゾフィルムを応用した嚥下機能評価訓練装置の試作」という演題で、2012年5月に横浜市で開催される日本補綴歯科学会で報告予定である。 また、無歯顎高齢者補綴治療による嚥下機能改善効果に対する基礎研究について、高齢無歯顎患者の補綴治療による嚥下機能改善の基礎研究として、下顎義歯の大臼歯部舌側床翼長が長すぎると嚥下時に痛みを伴うことから、下顎乾燥頭蓋骨について大臼歯歯頸線から外斜線及び顎舌骨筋線までの距離の研究を行い,外斜線と顎舌骨筋線の関係や下顎大臼歯部の床翼長の指標の結果を報告した。
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