研究課題
本研究は関節リウマチの滑膜増殖におけるHER2の作用を明らかにすることを目的として開始された。近年、関節リウマチにおいてもHER2が過剰発現しているとの報告がある。しかしながら、関節リウマチにおけるHER2の発現と臨床症状との関連性、および抗HER2抗体による治療の可能性については明らかになってはいない。関節リウマチにおけるHER2の作用を探る過程において、臨床に即した形(臨床検体を使用し、臨床データを集め、臨床に応用する)で進行するということに意義を見いだし、実行している。山梨大学医学部倫理委員会において承認(第657号)を得て、当科における関節リウマチ患者の人工関節手術の切除検体の一部をヒト(患者)滑膜検体としての採取を行った。まず、手術時に摘出された滑膜の検体を培養し、増殖した滑膜細胞のRNAとタンパクを回収し、HER2の全体発現量をPCR、WBにて定量した。具体的には、リウマチ患者、変形性関節症患者(対照群)よりの検体を適正培養条件のもと、滑膜細胞比率を90%以上にし、mRNAおよびタンパクの回収を行っている。遺伝子レベル、タンパクレベルでのHER2発現を確認している。また、すべての各手術症例の臨床症状(VASスケール等)、血液検査(炎症反応等)、レントゲン(関節変形スコア)を定量化し、数値化する作業を行った。結果としては、関節リウマチ滑膜検体にHER2が多く発現する傾向をみるが、対照群に対する有意差を得るに至っていない。今後は検体数を増やすこと、病理組織における免疫染色を追加することによって、新たなデータとの有意差も確認していく。検体による発現量の違いが大きく、近年導入された生物学的製剤の影響が強いのではないかと考察され、生物学的製剤の導入様式と臨床症状、HER2の発現について統計を追加する予定である。
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