平成22年度 (センダイウィルス法でのiPS細胞誘導) レトロウィルスを用いた現在の誘導方法では、ベクターの染色体への挿入による癌化の危険性が指摘されており、染色体に影響を及ぼさないセンダイウィルスを用いた方法で歯髄細胞株からips細胞の誘導を行い、レトロウィルス法に比べ高い効率で誘導できた。また、従来のレトロウィル法では誘導遺伝子を別々に感染させるため、感染した細胞によって導入遺伝子の発現量にばらつきがあるため、誘導効率の低下につながり、得られるips細胞の性質にもばらつきが生じた。この点は今回使用した誘導遺伝子が一つのベクターにまとまったセンダイウィルスベクター(産総研・中西先生より分与)にて改善できた。さらに、従来動物由来(マウス)のフィーダー細胞を使用していたが、今回はドナー細胞である歯髄細胞自身がフィーダー細胞になりうることがわかり(ドナー細胞のみで誘導に成功した)、より安全で良質なips細胞の誘導が可能になった。 (誘導効率の高い歯髄細胞株と、低い株とでDNAマイクロアレイ解析) さまざまな年齢、発達段階の株で行い、現在解析結果をまとめている。今後は著しい差異がある遺伝子に注目し、誘導効率にどう影響するかどうか解析していく。
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