研究課題
肺癌120症例のcDNA microarray解析結果から、肺がんで高度に発現し、正常臓器での発現が低い膜タンパク・分泌タンパクをコードする候補遺伝子を抽出し、有望な候補タンパクについては、市販抗体、作製した抗体を用いてELISAシステムを構築し、新規の腫瘍マーカーを同定する、また、抗体を用いて組織染色を行い、肺がんの予後マーカーの同定を行っている。更に、siRNAなどにより、がんの増殖に与える影響を検討し、治療標的分子候補の同定を行っている。これまでに引き続いて、肺がんマイクロアレイを用いた遺伝子発現解析により、非小細胞肺癌で高頻度に発現上昇し、正常臓器での発現が低い分泌蛋白LASEP3(Lung Cancer Associated Serum Protein3)を同定した。根治的腫瘍切除術を受けた非小細胞肺癌361症例と抗LASEP3抗体を用いた免疫組織染色による検討では、LASEP3は、非小細胞肺がんの54.8%(198/361例)で高レベルの発現を認めた。LASEP3強陽性は予後不良因子であった(P=0.0183)。ELISA法による非小細胞肺癌患者血清におけるLASEP3陽性率は61.8%(160/259例)(腺癌:63.06%131/206例、扁平上皮癌:54.7%29/53例)、健常者での偽陽性率は5.5%(6/109例)であった。LASEP3とCEAを組み合わせると感度79.5%、偽陽性率は7.3%であった。さらに血清LASEP3は、小細胞肺癌、乳癌、子宮頸癌、大腸癌でも健常者と比べて有意に高値を示した。機能解析を目的として肺癌細胞株におけるLAsEP3の発現をsiRNAで阻害したところ、有意に細胞増殖が抑制された。LASEP3は非小細胞肺癌をはじめとして多臓器の癌の有用な新規血清バイオマーカーであり、非小細胞肺がんの組織予後マーカーであると考えられた。
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