研究課題
microRNA(miRNA又はmiR)は血清中にも存在し、細胞から放出されたエクソソーム内に存在している。虚血性心疾患患者における心筋特異的miRNAの血清レベルについてリアルタイムPCR法を用いて定量した結果、miR-1、-133aの増加を認めた。この増加が虚血心筋によるエクソソームを介するmiRNA放出の増加に由来するとの仮説を立て、それを検証するために、まずトリガーとなる刺激をラット培養筋芽細胞H9C2を用いて検索した。その結果、細胞内にCaイオンを流入させるA23187イオノフォア(A23187)が用量依存的に細胞培養液中miRNAレベルを上昇させることを見出した。さらにA23187刺激により放出されたエクソソーム内miRNAが細胞に取り込まれ、その機能を発現しうることを示した。これは虚血心筋から放出されたエクソソームが正常心筋や心臓内の他の細胞種、あるいは遠隔臓器に拡散し、取り込まれ、外来性miRNAが作用を及ぼしうることを示唆し、miR-1、-133aの血清レベル上昇が虚血性心疾患の病態に寄与している可能性を示すものである。細胞死した心筋細胞はマクロファージにより貪食される。その際、エクソソームやその他細胞内の様々なmiRNAが同時に取り込まれているものと予想される。その外来性miRNAの動向をみるために心筋特異的miR-208aを過剰発現させた293FT細胞にアポトーシスを誘導し、マウス腹腔内マクロファージあるいはJ774培養細胞に貪食させ、様々な時間経過でmiR-208aレベルの定量を試みている。また、エクソソーム内miRNAを取り込んだマクロファージの影響を検討するために、A23187刺激で採取したエクソソームとこれらの細胞をインキュベートし、炎症性あるいは抗炎症性マーカー遺伝子の発現を評価する予定である。
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