研究概要 |
TMZおよびACMIの感受性にかかわるFA修復経路の中で、FANCD1はグリオブラストーマをTMZおよびACNUで治療する際の増感の標的候補となることが示唆された。このことから、薬剤の増感の標的となるFANCD1のsiRNAを、ヒトグリオブラストーマA172細胞に導入し、TMZおよびACNUによる殺細胞効果が増感するのかを検討してみた。その結果、FANCD1のノックダウンによって、TMZおよびACNUの殺細胞効果は著しく増感されることが確認できた。FA修復経路を介して、Homologous Recombination (HR)修復が進むことが知られているので、TMZおよびACNU処理後に生じたDNA損傷がHR修復経路によって修復されるかどうかをRecombination Assay (Hellday T, et al, Carcinogenesis 19 : 973-978, 1998.)によって調べた。その結果TMZおよびACNU処理後、Homologous Recombination (HR)修復が誘導されることが確認できた。さらに薬剤の増感の標的となるFANCD1のsiRNAを、A172細胞に導入した場合TMZおよびACNU処理後、HR修復経路にどのように影響するかを免疫細胞染色法によってHRの因子であるRad51のfociを定量的に数えて検討した。A172細胞にFANCD1 siRNAを導入し、TMZおよびACNUの処理をするとNegativecontrolsiRNAを導入した細胞に比べて著しくRad51のfoci形成が抑制された。 結論として、FANCD1をノックダウンすると、HR修復が抑制されることによりTMZおよびACNUの殺細胞効果の増感が得られることが明らかになった。
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