本研究はIntegrin-linked kinase(ILK)の膀胱癌進展における役割を解明し、その治療標的としての可能性を探る目的で行われた。膀胱癌細胞株およびマウス化学発癌モデルにおいてILKは浸潤・進展に伴い発現上昇する傾向を示し、in vitroでは細胞遊走および浸潤に関連していた。その機序としてはGSK3β-Zeb1経路を介したE-Cadherinの発現低下や、MMP9の誘導が関与していると考えられた。また、膀胱癌の臨床検体の免疫染色ではILKは浸潤性膀胱癌において高発現していた。これらの結果から、ILKは上皮間葉移行を誘導し、浸潤性膀胱癌の進展に寄与すると考えられ、浸潤性膀胱癌の新規治療標的となる可能性が示唆された。
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