近年、新卒の看護師の離職率の高さが問題となっている。その原因として、臨床現場で必要とされる臨床実践能力と看護基礎教育課程で習得する看護実践能力との乖離による知識・技術の未熟さが指摘されている。感染予防は看護技術の基本となる概念であり、医療安全の面からも看護基礎教育課程において習得が望まれる技術である。 感染管理認定看護師へのインタビューの結果、新人看護師の入職時に習得しておくことを最も期待する感染予防技術は「手洗い」、「個人防護具の着脱」であり、入職時の新人教育では、講義とともに演習を実施し、習得の徹底を図っていた。「手洗い」に関しては、継続教育においても重要なテーマであることが明らかとなった。 看護基礎教育課程の学生における看護技術習得度を明らかにするために、質問紙調査を行った。質問紙は厚生労働省の新人看護職員研修ガイドラインで示されている看護技術項目を参考に作成した。質問内容は、「感染予防技術」や「与薬の技術」など15領域204項目であった。回答は「学習していない」「講義で学んだ」「演習で実施した」「臨地実習で見学または指導者とともに実施した」「1人でできる」の5段階とした。 「手洗いを含む標準予防策の実施」を「1人でできる」と回答した学生の割合は、2回生23%、3回生66%、4回生39%であった。「個人防護具の選択」を「1人でできる」と回答した学生の割合は、2回生8%、3回生15%、4回生7%であった。「感染予防技術」の質問は13項目あったが、そのすべてにおいて、「1人でできる」と回答した割合は4回生よりも3回生の方が多かった。 4回生において「1人でできる」の割合が下がった原因としては、臨床実習を実施していないことが考えられた。研究結果については、平成24年3月に米国ハワイにて学会発表を行った。投稿論文は準備中である。今後は、習得した技術の定着率を上げるためのより効果的な教育システムの構築が望まれる。
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