本研究にて、Icmtの機能の抑制が神経細胞にどのような影響を与えるかを調査を行った。ラットの小脳顆粒細胞の初代培養系の確立を行い、また、Icmtの下流に存在すると予想されるmTORの働きを明確化するために、LY294002、Akt inhibitor、rapamycinなどの前後のシグナルのインヒビターを初代培養中に加え、ウエスタンブロッティング法によって同定したところ、Akt、mTOR、p70S6Kなどのプロテインキナーゼの活性が上昇していることが判明した。また、これらのシグナルの影響が軸索進展や神経細胞死の抑制につながる可能性を示すデータが得られた。以上の結果から、Icmtの機能が、神経軸索伸展や細胞死の抑制に影響を与える可能性があることが判明し、Icmtの機能解明が難治性神経障害の病態解明と治療につながる可能性が示唆された。
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