研究概要 |
[研究の目的] 学童期高学年~中学生の広汎性障害(Pervasive Developmental Disorders: PDD)と診断された子どもとその保護者を対象に、Problem-Solving Training(PST)を実施し、PST前後の子どもへのアンケート「対人的自己効力感尺度(松尾・新井,1998)」、ストレスコーピング尺度(SC-S; Shimada&Miura, 1998)、保護者に対する「家族の自信度アンケート」「子どもの行動チェックリスト:Child Behavior Checklist(CBCL)」「自尊感情尺度:クーパースミスの全般的セルフエスティーム尺度(SE-III式);邦訳版尺度(Coopersmith, 1967)」を指標にその有用性を検討した。 [対象と方法] 大阪大学医学部付属病院小児科通院中で、VIQ70以上のHFPDD児とその親7組(現在3組実施中)。3-4名の少人数グループで、問題解決に特化した心理教育を実施し、上記の指標をもとに、実施前後での有効性を検討した。 本研究は大阪大学医学部倫理委員会の承認を受け、本研究に同意が得られたものに実施した。 内容は、問題解決スキルに関する指導を中心とし、家庭や学校への汎化に向けた心理教育を、1~2週間に1回、1回90分、加えて、ふりかえりのセッション1回の計3回で実施した。 [結果] 現時点で解析が終了している7例の結果を報告では、家族の自信度、CBCI.、子どもの対人的自己効力感尺度(松尾・新井,1998)、ストレスコーピング等において改善がみられた。 [考察] 今回の結果より、HFPDD児とその保護者に対して、PSTを実施することの有用性が示唆された。今後、より例数を増やして、子どもと保護者における行動・情緒面への効果についての更なる検討が必要と考えられた。
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