研究課題
平成23年度は、バイオ医薬産生型人工染色体ベクターに医薬候補遺伝子を導入・産生細胞を樹立し、産生量を評価した。また、産生量を飛躍的に増加させるために、人工染色体ベクターを導入遺伝子のコピー数増幅が可能でバイオ医薬産生細胞として産業応用されているデヒドロ葉酸レダクターゼ(DHFR)欠損細胞株DG44CHO細胞へ移入した。バイオ医薬産生細胞において導入遺伝子が安定発現されることは重要であり、そのためにインシュレータ等の導入遺伝子を安定化させる仕組みをベクターに搭載することが必要である。平成23年度は、既知・新規インシュレータ配列及び分泌型ルシフェラーゼを用いて、発現量及び安定性を評価する予定であったが、評価用細胞の樹立が遅れコンストラクションの適正を評価できるデータが取得できなかった。一方で、人工染色体ベクターがバイオ医薬産生系に有用であるか評価するために、新規インシュレータ配列を採用して医薬候補遺伝子を人工染色体ベクターに導入し、産生細胞を取得した。産生量は人工染色体ベクターに導入した遺伝子のコピー数依存的に増加していた。それら産生細胞をFISH解析したところ、産生量の高い産生細胞ほど人工染色体ベクター上に目的遺伝子が導入されている割合が高いことが明らかとなった。導入遺伝子のコピー数を飛躍的に増加させるために、人工染色体ベクターをDG44CHO細胞へ移入した。CHO細胞内の人工染色体ベクターを微小核細胞融合法によりまずマウスA9細胞に移入し、その後DG44CHO細胞へ移入した。PCR及びFISH解析の結果、人工染色体ベクターを保持したDG44CHO細胞を取得できた。期間内に本研究の目標を達成できなかったが、システム開発のためのツールをそろえることができた。今後、データ収集を進め人工染色体ベクターを用いたバイオ医薬産生系の確立を目指す。
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