研究概要 |
平成22年度は,Hox遺伝子のin situ hybridization法による遺伝子発現解析に向け,各因子を特異的に標識するRNAプローブの作製,並びにマウス歯胚の組織切片の作製を行った.この結果,現在まで全39因子のうち,37因子についてRNAプローブの準備が終了した.組織切片についても,解析予定である全発生ステージ10のうち,胎生期の7ステージについて必要数の準備が整った.現在残りのRNAプローブおよび組織切片の準備と,実験プロトコールの最適化を進めている. また,次年度に行う予定である,下顎ならびに歯胚の器官培養の実験系についても予備実験を開始している.すなわち,胎生11日で妊娠マウスより胎仔を摘出し,分離した下顎突起を改良型Trowell法,BGJb培地にて9日間培養を行ったのち,組織学的観察を行った.この結果,歯胚形成前から培養を開始した下顎組織中において,培養後には鐘状期に相当する歯胚の形成が確認された.生体に比べて発生速度は遅いものの,形態的には正常な発生過程にある歯胚と同様に発生しており,骨や筋などの周囲組織の形成も観察された.また,培養後の組織より抽出したRNAからは,歯胚組織切片で発現の確認されているHox遺伝子の発現が確認できた.現在はこの器官培養系において,siRNAを用いたノックダウン法の確立を進めており,導入効率やノックダウン効果が安定して得られるプロトコールを検討中である.
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