本研究の目的は、震災対応期(発生~3日間)において、在宅支援体制の基盤整備の中で、専門的知識・技術を持つ訪問看護師が療養者を支える役割を明らかにすることであり、在宅診療医師が訪問看護師に求め必要とする役割と支援内容を明確にすることで、災害時支援の連携活動を円滑にすると予測される。その為、震災経験のある地域及び大都市での在宅医療を支える在宅療養支援診療所の医師に対して、震災対応期における訪問看護師との連携の必要性の確認及び、期待する訪問看護師の役割とその具体的な項目を明らかにする為に、倫理審査の基、(1)震災に遭遇している地域の診療所(新潟県中越地区、宮城県北部地区、石川県能登地区)及び在宅療養支援診療所(神戸市)の医師(質問紙郵送数745か所の有効回答率7.6%)と(2)地震災害の恐れのある大都市として東京都23区、名古屋市の在宅療養支援診療所の医師(質問紙郵送数1124か所の有効回答率13.1%)に、質問紙調査票【基本属性・往診件数等・地域連携で必要な職種ご看護師を選んだ理由と支援内容:訪問看護師に求める力、必要と思われる震災医療知識の内容、および震災経験の有無:有と回答した人へ震災の種類、時期、勤務形態、必要な援助、訪問看護ステーションとの連携の有無及び必要性の有無)を選択方式】を郵送した。(12月)。回収率11.2%、データ分析中:東京都23区の回収率(13.8%)が一番高く、今後直面すると予想される首都直下型地震への不安や対策への希望等が自由記載に書かれていた。震災地域の回収率では宮城県北部地区は3%であり、震災被害の意識の低さが予測された。震災の規模に応じた被災状況での判断基準の重要性を付加する為に、大都市圏の防災センター等へ過去の被災状況の情報収集、防災対策の知識の蓄積を行った。3月11日の東日本大震災が発生し被災者の対応の遅れが課題となっている中で、対策の1つとして研究意義は大きい。
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