本研究の全体構想は、生活習慣病ハイリスク者が、自身の生活習慣の改善を通して、地域の生活習慣病予防対策の人材資源となっていく生活習慣病ハイリスク者のエンパワメントを促す支援プログラムを構築することである。その中で、本研究の目的は、生活習慣病ハイリスク者のエンパワメントの発展過程を概念モデルとして構築し、支援プログラムの開発を目指す。次いで、その支援プログラムの評価ツールを開発する。 本研究成果として、生活習慣病ハイリスク者のエンパワメントを促すプログラムは【スキル1:知識】生活習慣病とその原因に関する知識、【スキル2:目標設定】行動変容の具体的な目標設定、【スキル3:自身の生活習慣の内省】自身の生活のアセスメントとセルフモニタリング、【スキル4:生活改善の具体的な実践方法】運動・栄養・禁煙などの健康的な生活の具体的な実践・選択方法の4つのスキルを身に付けるよう構成することが必要であり、スキル1は健康教育、スキル2はグループラーニング、スキル3は個別的な面接、スキル4はグループ活動の方法を用いることが効果的であることが明らかとなった。また、このプログラムの評価指標として、プリシードプロシードモデルの準備要因・行動・健康についての評価指標は見られたが、強化要因・実現要因の評価指標ならびに環境の評価指標については確立されていなかった。今後は、それらを開発するとともに、個人と環境の両方の変容によって起こるQOLの向上についても評価できる指標の検討が必要であると考えられる。
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