研究課題
心肥大の過程において心筋細胞内ではp300/GATA4転写経路の活性化が起こり、転写反応が起こっている。本研究ではp300/GATA4転写経路の分子機構解析と血管新生因子の発現調節の役割を解明することを目的とした。これまでに新規GATA4結合タンパク質の同定に成功しており、その役割について検討を行った結果、アルギニンメチル化酵素PRMT5及びNCoR/SMRT複合体構成因子TBL1はp300/GATA4誘導性の転写反応に対して抑制的に働いていることを明らかにした。さらにPRMT5による抑制機構の一端としてメチル化酵素反応を介したp300のメチル化が関与していることを示唆している。またTBL1についてはNCoR/SMRT複合体に含まれるヒストン脱アセチル化酵素3(HDAC3)をGATA4複合体にリクルートすることを明らかにし、このリクルートにより、GATA4転写反応を抑制することが考えられた。以上の結果は、様々な国内及び国際学会にて発表した。これらの結果から、心肥大および心不全発症におけるGATA4の新規制御メカニズムであり、難治性疾患である心不全の分子機構の解明さらには治療薬やバイオマーカー開発への応用が期待できる大変に意義深い知見であると言える。p300/GATA4経路の血管新生因子の転写反応への寄与と分子機構については、現在までの研究結果からいまだ明らかにできていないが、同様の制御機構が働いている可能性が高いと考えている。新規GATA4結合分子によるp300/GATA4転写経路制御機構が解明され、心肥大・心不全発症さらには血管新生への寄与を明らかできれば、GATA4を中心とした転写反応のコントロールが可能となりうる治療標的分子の同定、治療薬の開発につながり虚血性心疾患などの疾患への応用が期待できる。
すべて 2012 2011
すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 4件) 学会発表 (5件)
Biol Pharm Bull.2012;35(2):139-44
巻: 35 ページ: 139-44
JST.JSTAGE/bpb/35.139[pii]
Biol Pharm Bull
巻: 34(5) ページ: 660-665
DOI:JST.JSTAGE/bpb/34.660[pii]
Invest New Drugs
巻: 29 ページ: 1198-205
10.1007/s10637-010-9464-9
Circ J
巻: 75 ページ: 2151-9
JST.JSTAGE/circj/CJ-10-1072[pii]
Breast Cancer Res
巻: 13 ページ: R66
bcr2903[pii]10.1186/bcr2903