研究課題
1:p53の標的遺伝子におけるhSNF5の新規標的遺伝子の同定p53の標的遺伝であるアポトーシス関連遺伝子(NOXA,PUMA,BAX)の中のhSNF5標的遺伝子をリアルタイムPCR法で検索した。MRT細胞株で共通していたのは、NOXA遺伝子はhSNF5発現によって転写は活性化しmRNAは増加した。また、hSNF5が欠損しているMRT細胞株ではNOXAの発現は他の腫瘍細胞株に比べて低発現であることが分かった。また、hSNF5導入に伴ったヒストン修飾、メディエーター、SWI/SNF複合体の各因子、転写伸張の調節因子をそれぞれChIP法で解析したところ、NOXAはp53のリクルートを必要とせず、他のSWI/SNF複合体の因子BRG-1やBAF155を誘導しNOXAの転写を活性化していることを明らかにした。以上より、NOXAはhSNF5の新規標的遺伝子有、MRTではhSNF5欠損によってNOXAの発現が制限されアポトーシスに関連する経路に機能的異常をきたしている可能性が示唆された。2:NOXA遺伝子とMRTの病態とのかかわりNOXAはアポトーシスに関係し化学療法の薬剤投与でNOXAが動員されアポトーシスが誘導されるという報告がある(PNAS104:19488-19493,2007、Oncogene27:S84-S92,2009).MRTと薬剤耐性の機序を解明するために、上記の結果をもとにNOXAに着目した。NOXAはその下流のMcl-1を抑制しアポトーシスを誘導する。NOXAの機能不全はMcl-1の抑制がきかずアポトーシス誘導が阻害されるので、Mcl-1の阻害剤TW-37を投与した。結果、IC50は269±27(nM)で、MRTに有効性を示す結果を得た。
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Biochem Biophys Res Commun
巻: 413 ページ: 62-68