研究課題
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悪性ラブドイド腫瘍(malignant rhabdoid tumors;MRT)は主に1歳未満の乳幼児に発症するきわめて予後の悪い小児固形腫瘍のひとつである. hSNF5遺伝子の異常はMRTに共通する異常であり、hSNF5の欠損はMRTの腫瘍形成などに関与している。そのため、hSNF5の機能解析は重要な課題である.われわれはhSNF5はhSNF5はp21のプロモーターへ直接リクルートされ、p21の転写を促進し、p21の発現増加によって細胞周期を制御することを報告した.しかし、hSNF5発現によるp21の転写活性化の機序の詳細は明らかになっていない。今回、hSNF5によるp21転写制御機構の詳細とp53標的遺伝子の発現を解析したので報告する。MRT細胞株に、アデノウイルスベクターを用いhSNF5を導入した.クロマチン免疫沈降法(ChIP)によりプロモーターでのヒストン修飾、転写関連因子の変化を解析した。また、レンチウイルスを用いたshRNAでp53をノックダウンした。hSNF5はp21プロモーター転写開始点に直接結合し、BRG1などSWI/SNF複合体を誘導する。さらに、RNAポリメラーゼIIが誘導され、H3K4me3、H3K36me3が増加することから、転写開始反応、伸張反応が活性化されていることが明らかになった。また、hSNF5によるp21の転写活性化にはp53依存性または非依存性の機序が存在した。さらにhSNF5はアポトーシス関連p53標的遺伝子の発現に関与していたが、細胞により影響される遺伝子は異なっていた。hSNF5はp21のほかにもp53標的遺伝子の転写制御に直接関与している。MRTではhSNF5欠損によりp53標的遺伝子の発現が影響を受け、細胞周期、アポトーシスの制御に影響していることが示唆された.
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Biochem Biophys Res Commun
巻: 413 ページ: 62-68