認知症対応型通所介護施設で実践されているケアを明らかにし、課題を探りアクションプラン作成につなげていくことを目的として、最終年度である今年度は以下の取り組みを実施した。 1.昨年度に引き続き、認知症対応型通所介護において、参加観察を3日間行った。 2.これまでに実施したインタビューおよび参加観察によって得たデータの分析を、施設職員と共に行った。 3.分析した内容の一部を「苛立ち・暴言のある認知症高齢者をケアする認知症対応型通所介護の職員の感情」として、学会で発表した。 4.分析したデータを施設職員と共にプレゼンテーションとしてまとめ、施設が所属する社会福祉法人内の研究発表会にて発表した。 今年度は、困難事例への対応策を探りつつ課題を明確化し、それを解決するためのアクションプラン作成、実施、評価につなげていく計画であった。しかし、施設の業務が多忙であることおよび認知症高齢者による暴言・暴力に傷ついている職員の感情への配慮により、データの分析と課題の明確化までとなった。データを分析し、法人内の発表という形にまとめる作業の中で、実施したケアの意味づけができた。意味づけを行うことで、困難事例への対応のバリエーションを明らかにすることができ、また、これまでのケアに不足していたものは何かという課題を見出すことにもつながった。当初は、アクションプランの作成を目的としていたが、この課題を見出す過程そのものがケアを振り返り、職員自らが自身のケアを見直して、よりよいケアを行うモチベーションにつながっていることが考えられた。多忙な中でも、ケアを振り返る機会を持つことが、ケアの質向上につながることが示唆された。
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