本研究の目的は、がんの初期段階からの緩和ケアを提供する看護師の役割と課題を明らかにし、がんの初期段階からの緩和ケア看護の示唆をえることである。平成23年度は、1早期緩和ケアモデル研修、2.がん看護専門看護師のがんの初期段階からの緩和ケアに関するフォーカス・グループインタビューを行った。 1.早期緩和ケア看護モデル研修では、米国のDana Farber Cancer Instituteにて高度実践看護師APNの外来におけるがん看護実践のシャドーウィングを行い、時期にとらわれず緩和ケアをがん看護実践として提供していた。医師と協働して外来を担当することで、診断期から継続的に患者と家族に関わり、各時期のニーズに応じたがん看護と緩和ケアを提供していた。 2.がんの初期段階から緩和ケア看護における現状と課題について、がん看護専門看護師を対象にしたフォーカス・グループインタビューを行った。その結果、早期緩和ケアの現状について、「早期緩和ケアに関する医師・看護師・患者の認識のズレ」、「外来でのがん告知後のケアの取り組み」、「治療期の緩和ケアの取り組み」、「早期から緩和ケアニーズが高い対象者の特徴とスクリーニングの取り組み」が明らかになった。 がんの初期段階からの緩和ケアを提供する看護師の役割として、がん看護専門看護師はがんの初期段階での苦痛の緩和とともに、患者のがんの軌跡を推測しながら、今後患者が体験する困難を乗り越えていくことができるよう信頼関係を構築し、継続的に関わり、支援体制を調整するとい活動が重要であることが示唆された。
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