研究概要 |
我々は、MRプラークイメージングを用いて、シロスタゾール投与下における頸部頸動脈プラークの内部性状の経時的変化を明らかにすることを目的とし、頸動脈超音波検査でプラークを認めた患者6名を対象に、シロスタゾール200mg/日を経口投与し、治療前、3か月後、6か月後にMRプラークイメージングおよび3D超音波検査を施行した。 MRIは1.5T Echelon Vega (Hitachi)を用い、radial scan SE法T1強調画像(TR/TE:500/12)を撮像し、専用解析ソフトを用いてプラークの胸鎖乳突筋に対する相対信号強度で線維・脂質・出血成分を区別し、プラーク断面積と各成分の比率を算出した。3D超音波はVOLUSON 730 EXPERT (GE)を用い、プラーク体積とプラーク輝度(gray scale median)の計測を行った。 MRIプラークイメージングでは、シロスタゾール投与前、3ヶ月後、6ヶ月後において、プラーク断面積は8.41,8.59,8.50mm^2と明らかな縮小傾向を認めず、相対信号強度も1.12,1.11,1.09とほぼ不変であったが、線維・脂質・出血成分の比率は65.8/33.0/1.2%,69.6/27.5/2.9%,70.1/26.4/3.5%と線維成分が増加し脂質成分が減少する傾向にあった。3D超音波では、プラーク体積のわずかな縮小傾向(0.51,0.51,0.49cm^3)、輝度のわずかな増加傾向(44.7,46.3,47.7)を認めるのみであった。このように、MRプラークイメージングによって薬剤投与下の頸部頸動脈プラークの内部性状変化を評価できる可能性があることが示唆された。
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