我々は、独自に開発した高コントラストMRプラークイメージング撮像法と専用カラーマップ解析ソフトウエアを用い、頸部頸動脈プラークの内部性状の定量評価法の確立を試みた。 まず、頸動脈内膜剥離術(CEA)の術前患者31例を対象に、独自のradialscan心電非同期spinecho(SE)法T1強調画像と従来の3種類の撮像法を撮像した。ROI計測によってプラークの胸鎖乳突筋に対する相対信号強度を算出し、本手法が従来法に比し病理標本におけるプラーク内主成分(線維、脂質、出血)を有意に識別できることを明らかにした(Neuroradiology 2012)。 次いで、CEA術前患者40例を対象に、独自のSET1強調画像、および撮像条件を最適化したプロトン密度強調画像・T2強調画像を撮像した。ROI計測によって、本画像が他の画像に比しコントラストが有意に高くプラーク内主成分を正確に識別できることを明らかにするとともに、ROC解析によって至適カットオフ値を見出した(AJNR in press)。また専用解析ソフトによるカラーマップが病理所見と高い相関と一致率を示すことを明らかにし、視覚的にも良好に対応することを示した(論文作成中)。 さらに、手術適応の無い頸動脈狭窄症患者16名を対象に、血管内皮保護作用を有する抗血小板薬(シロスタゾール200mg/日)を経口投与し、治療前と6か月後に独自手法を撮像した。専用解析ソフトと至適カットオフ値を用いてプラーク内成分をカラーマップ表示し面積比率を自動算出し、プラーク体積縮小例において、線維成分が増加し脂質・出血成分が減少する傾向を認めた(Neuroradiology 2012)。 今回確立した手法は、頸動脈プラークの性状を定量的かつ高精度に評価可能であり、脳卒中イベントのリスク評価や治療効果のモニター指標として有望と考えられる。
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