平成22年度(平成23年3.月31日まで)では、研究目的である「エストロゲンが直接作用する従属振動体(エストロゲン感受性従属振動体)を同定する」ことを達成するために年度ごとの目標であった「実験1:免疫組織化学法による候補神経核の絞り込み」を実施した。まず、申請者は、時計遺伝子であるPER2の様々な抗体を用いABC法にて免疫組織化学を行った。その結果、Alpha Diagnostic社製のPER21-A抗体が、候補神経核(扁桃体(Amygdala)、分界条床核(BNST)傍室傍核領域(SPZ)、室傍核(PVN)、視床下部背内側核(DMH)、視床下部内側視索前野(DMH))の細胞におけるPER2とよく反応し、PER2発現を単一細胞単位で判別でき、細胞数のカウントが可能であることが分かった。平成22年度内で、実施できなかった実験1の残りの部分に関しては、次年度(平成23年度)に持ち越し実施する予定である。別の目標であった次年度に向けた設備のセットアップでは、次年度に実施予定である実験2、3で用いる手法である電気生理学的実験とルシフェラーゼ発光システムを用いたPER2発光リズム測定に対する設備のセットアップを行った。測定室の確保、測定装置の製作・構築、環境整備などを行い、テストランを数カ月にわたって行い、現在では常に測定が可能な状態を構築している。 また、対外的には、本研究に関連した研究内容の論文発表(2件)及び学会発表(1件)を行った(研究発表欄参照)。総合的に判断して、平成22年度は、当初の計画の8割程度の実施にとどまったが、次年度にカバーできる部分であり研究計画を実施できたものと判断している。
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