昨年度開発した「胃瘻造設を検討する患者の家族の意思決定支援ガイド」の効果を検証するための調査を行った。胃瘻造設を検討する患者の家族(6病院合計13組)を対象とした。患者の家族に意思決定支援ガイドを用いた意思決定支援を行い、その前後に質問紙調査を行った。質問紙では、胃瘻に関する知識レベルと意思決定するうえでの葛藤レベルを測定した。13組の回答結果を分析したところ、意思決定支援を行う前と比べて後では、知識レベルは上がり、葛藤レベルは下がるという結果が得られた。ガイド自体の評価について、回答が得られた12組中12組の家族が「役に立った」としていた。ガイドの長さについて4組の家族から「若干長過ぎる」という回答があった。意思決定支援に携わった医療者2名へのインタビュー調査から、「ガイドがあることで、胃瘻造設のメリットとデメリットについて家族が客観的に考えることに役立った」、「患者本人の意思を考慮することに役立った」という意見があった。改善点として、「胃瘻以外の人工的水分・栄養法についても少し取り上げるとよい」や、普及に向けて「低栄養の患者で栄養サポートチームが介入する際に、チームから主治医にガイドを渡してもらうことも一つの方法」との意見があった。質問紙調査の結果は、2013年日本老年医学会学術集会にて発表予定である。 今後は、ガイドの内容を精選し、患者の家族向けの簡易版と医療者向けの詳細版を作成し、改訂したガイドの普及につとめる予定である。また、ガイドを使用して意思決定した患者の家族を対象に長期的に決定に関する満足度を調査をする予定である。
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