研究概要 |
1. 都内病院の人間ドックを2003~2007年の間に初めて受診した20,744名の男性(年齢30-64歳)を対象に、睡眠時間と未治療の生活習慣病(高血圧、脂質異常症、糖尿病)との横断的関連を肥満で層別化して分析した。その結果、肥満者(BMI25以上)では短時間睡眠(5時間未満)及び長時間睡眠(8時間以上)が糖尿病と関連することが示された。非肥満者(BMI25未満)では短時間睡眠のみが糖尿病と関連することが示された。なお、高血圧及び脂質異常症と睡眠時間との間に有意な関連は示されなかった。この成果についての論文は海外誌(Sleep Medicine)に投稿誌、受理された。 2. 2010年度の職場定期健診において質問票に回答し、かつ糖尿病歴のない1,022名の男性職員(年齢22-69歳)を対象に、不眠症状とヘモグロビンA1c値との関連を分析した。対象者のうち、5.2%が何らかの不眠症状を有していた。不眠症状の中でも、中途覚醒と早朝覚醒が高いヘモグロビンA1c値と関連することが示された。この結果は、海外誌に投稿中である。 1,2の結果から、睡眠時間及び不眠が糖尿病のリスクと関連することが示され、糖尿病予防のために睡眠衛生の改善が必要であることが示唆された。
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