平成22年度は、これまでの研究結果から得られた「終末期がん患者の家族が望む患者との療養生活」45構成要素12概念の妥当性を検討するために、(1)質的データの分析(2)文献検討(3)医療者対象の予備的面接調査と本調査のための施設交渉を行った。 (1) これまでの質問紙調査の自由記載欄の質的分析を行った。2009年に実施した全国に居住する40才以上の男女1975名を対象とした質問紙調査から、家族が望む患者との療養生活に関する自由記載があった204名の自由記載欄に関する質的帰納的分析を行い、カテゴリ化を行った。その結果、「終末期がん患者の家族が望む患者との療養生活」として"患者と一緒に過ごすこと""患者の望みどおりに過ごすこと"などの35カテゴリーが得られたが、いずれも先行研究で得られた構成要素に含まれており、新しい構成要素と概念は抽出されなかった。 (2) 2009年以後の新規文献検索により、追加すべき構成概念がないかを検討したところ、新規に家族のQOLや望ましい療養生活、介護に関する概念を抽出した文献および尺度作成を行った文献は検出できなかった。しかし、家族ケアに関する文献は2010年-2011年にかけて増加しており、今後も継続して文献検討を行っていくことが望まれると考えられた。 (3) がん医療および緩和医療に従事する医療者対象の面接調査のために、東京近郊の医療従事者1名を対象とした予備的面接調査を行った。予備的面接調査では、本調査で予定している60から100分という面接予定時間を大幅に超過したため、問の答えやすさなどに関する面接対象者からの意見を踏まえ、本調査で用いる面接ガイドを修正した。その後、都内近郊の大学病院の看護部に依頼し、研究協力を得ることができた(平成23年度5月現在、修正された面接ガイドを用いて、看護師対象の本調査を実施中である)。
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