平成23年度は、平成22年度のインタビュー調査の結果を踏まえ、家族介護者の就労・余暇活動の現状と精神健康について明らかにすることを目的として、質問紙調査を行った。 研究者の機縁により、東京都と埼玉県の訪問看護ステーション計15か所の協力を得て、無記名自記式質問紙を288部配布し、172部回収した。回収率は59.7%であった。なお、本調査は東邦大学看護学部倫理審査委員会の承認を得て行った。 在宅療養者のうち、男性は77名(45.6%)、女性は91名(54.4%)、平均年齢は77.4±16.3歳であった(欠損値を除く)。介護保険を使っている者はl43名(83.1%)であり、要介護4と5の者が55%を占めていた。 家族介護者の平均介護年数は7.9年、療養者に対する属性としては、妻が53名(30.8%)、夫が18名(10.5%)、娘が51名(29.7%)であり、女性が78%を占めた。平均年齢は63.4±10.8歳であった。 家族介護者が介護に費やす時間は、一日のうち平均10.8時間、1週間のうち平均6.8日であった。介護をかなり、あるいはやや負担であると回答した者はそれぞれ51名、88名であり、合計約81%にのぼった。常勤の仕事をしているのは36名(20.9%)、非常勤は19名(11%)、114名(66%)は就労していなかった。介護のために退職した者は45名(26%)、正社員からパートになるなど働き方を変えたのは32名(18%)だった。趣味・余暇活動に関して、介護のために自宅外で行うグループ活動(町内会、趣味の会など)を辞めた者は27%、映画鑑賞や旅行などの自宅外趣味活動を辞めた者は37%、食事、散歩などの気分転換活動を辞めた者は32%であり、全体として72%が何らかの活動を制限していた。今後、精神健康や介護負担感と、就労(継続あるいは退職経験)、趣味・余暇活動との関係を分析する予定である。
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