1.看護情報学教育の実態調査 日本国内の看護系大学193校(平成22年4月時点)を対象に看護学専攻大学生(大学院生を除く)の看護情報学(看護に関連する健康情報学を含む)に関連する科目の開講状況に関する質問紙調査を実施し、58通(回収率30.1%)の回答を得た。看護学専攻大学生(大学院生を除く)対象の看護情報学(看護に関連する健康情報学を含む)に関連する科目は回答のあった58校中42校で開講されており、任意で提出を求め入手した看護情報学(看護に関連する健康情報学を含む)に関連する科目のシラバスの写し56件には、大学での学習全般に有用なコンピュータ操作やコンピュータソフトウェアの使用方法、インターネット使用を含む情報収集方法、プレゼンテーション技法などコンピュータリテラシーや情報リテラシーに関する内容や、質問紙作成やデータ処理、統計学など研究手法に関する内容が多く含まれていた。また、一部のシラバスには、看護や医療に関するデータ、情報、知識の定義とその関連や特徴、看護や医療の提供に使用される情報システムに関する内容が含まれていた。 2.看護情報学教育に包含すべき要素の整理 日本国内および国外の看護系大学で看護情報学の教育および研究を主導している研究者3名を対象にヒアリングを実施した。対象者は平成22年度までに10年以上看護系大学における看護情報学関連科目の教授経験を有する大学教員から本研究への参加に同意の得られた3名とした。ヒアリングの結果、対象者ごとに担当科目の教育内容に含む要素の違いはあるが、学問領域に関わらず大学教育課程で求められる情報リテラシーやコンピュータリテラシーと、看護や医療、健康に関わる情報を扱う学習内容を整理しながら教育内容を検討している共通点があった。
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