生体は、上皮細胞の粘膜バリアにより抗原の侵入を防いでいる。そして、それを担っているのがタイトジャンクション(TJ)である。本研究では、腸管上皮細胞に着目し、環境と食品中に存在するバリア機能破綻作用と免疫攪乱作用とを有する化学物質の探索を行った。その結果、種々の環境汚染物質がタイトジャンクションのバリア機能を低下させることを見出した。また、マウスにダイオキシン類と抗原とを経口投与することでダイオキシン類の投与量依存的な抗原特異的な抗体価の上昇が観察された。これらのことは、我々の生活環境中の化学物質が上皮細胞バリアを破綻させ、尚且つ免疫攪乱作用を示すことを示唆するものである。
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