本年度は、平成23年度に明らかになったドメスティック・バイオレンス(以下DV)被害女性へのより良い看護援助について助産師に報告し、その後、助産師は、実際に周産期の医療現場において、DV被害女性への支援を行うに当たりどのようなDVに関する内容をより知りたいのか、また、今後、助産師としてどのようなケアができると考えるのかについて調査を行った。方法として、助産師を対象にDVに関する研修を行った後、助産師に口頭およびアンケートを用いて、興味を持った内容や、助産師に必要なケアについて尋ねた。研修内容は、DVの定義、DVの現状、DVの母子への影響、DV被害を受けている女性は、どのような思いを抱えながら妊娠、出産、育児期を過ごしているのか、DV被害者が助産師に望むケアについて行った。その結果、15名の助産師が研修に参加し、10名から回答が得られた。年齢は30代から50代、経験年数は3年から30年であった。DV被害者支援に関して助産師が知りたい内容は、DVを発見した時のアクセス方法、胎児への影響、思春期の人へのDV教育、加害者更生教育、DV被害者へどのような言葉かけがよいのか、DVが疑われる女性への対応の仕方、チームで取り組む方法、等であった。DV被害者にできる助産師のケアとしては、助産師と妊婦が対面で行うDVスクリーニング、DVについて理解を深める、DVの専門家につなげるプロセスを明確にしておく、妊婦に対してDVは多くの女性が受けていることであることを啓発する等が挙げられた。助産師は、DVのセミナー受講後、助産師がDVの問題に取り組む必要性を強く感じ、モチベーションが向上したと考えられる。今後、DV被害女性へのより実践が可能な助産ケアの検討を重ねるとともに、保健医療現場において、助産師がDVに取り組むモチベーションを向上させられるような研修を行えるよう本調査を継続していきたい。
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