研究課題
平成22年度の研究において、非アトピー型アレルギー疾患とpro-allergic cytokineの関係を明らかにする目的で、ブタクサ花粉連続点鼻による鼻炎ならびに喘息モデルを樹立した。マウスが覚醒した状態でブタクサ花粉粒子を14日間連続点鼻することにより非アトピー型アレルギー性鼻炎モデルを樹立することができた。また、同様に麻酔下においてブタクサ花粉を週二回、二週間、計四回点鼻することにより、喘息症状を誘導することができた。最終点鼻の翌日にマウスを解析したところ、杯細胞からムチン産生の亢進および気管支肺胞洗浄液(BALF)中への炎症性細胞(好酸球、好中球、単球)の浸潤がみられ、血清中にブタクサ抗原特異的IgEならびにIgG1抗体の上昇が誘導された。さらに肺門リンパ節においてブタクサ抗原特異的Th2細胞の誘導がみられた。本喘息モデルマウスでは肺組織中において、上皮細胞におけるIL-33の発現量が遺伝子およびタンパク質レベルで上昇しており、またTSLP mRNAの発現量が上昇していた。また、ブタクサ花粉粒子の単回投与においても花粉投与後3時間からIL-33mRNAの増加が、また6時間後からIL-33タンパク質の増加が誘導された。したがって、ブタクサ花粉により肺上皮細胞から誘導されるIL-33は喘息症状の誘導やTh2型免疫応答の惹起において重要な役割を果たしていると考えられ、今後本モデルマウスにおけるIL-33の関与ならびにその産生メカニズムの検討を行っていく。
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Proc Natl Acad Sci U.S.A.
巻: 107 ページ: 17680-17685
Nature Immunology
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