研究課題
本研究においてアトピー型および非アトピー型アレルギー疾患とpro-allergiccytokineの関係を明らかにする目的で種々のアレルギー疾患モデルマウスの作製を行った。アトピー性素因のある鼻炎モデルとして、マウスに水酸化アルミニウムゲルでブタクサ花粉を免疫し、二週間後に花粉を4日間連続点鼻し鼻炎を誘導した。また、非アトピー型アレルギー疾患モデルとしてマウスが覚醒した状態でブタクサ花粉粒子を14日間連続点鼻することにより非アトピー型アレルギー性鼻炎モデルを樹立することができた。また、同様に麻酔下においてブタクサ花粉を週二回、二週間、計四回点鼻することにより、喘息症状を誘導することができた。最終点鼻の翌日にマウスを解析したところ、杯細胞からムチン産生の亢進進および気管支肺胞洗浄液(BALF)中への炎症性細胞(好酸球、好中球、単球)の浸潤がみられ、血清中にブタクサ抗原特異的IgEならびにIgG1抗体の上昇が誘導された。さらに肺門リンパ節においてブタクサ抗原特異的Th2細胞の誘導がみられた。また、アトピー性素因のある鼻炎モデルにおけるIL-33の役割を検討するために、IL-33KOマウスを用いて点鼻を誘導したところIL-33KOマウスにおいては鼻炎症状が顕著に抑制されていた。これにはFceRIを介して活性化された肥満細胞および好塩基球が関与しておりIL-33はこれらの細胞からのサイトカイン、ケモカインおよびヒスタミンの産生を亢進することが明らかとなった一方で、ブタクサ花粉誘導性の喘息モデルではIL-33KOマウスにおいてTh2細胞からのIL-5およびIL-13産生が低下はするものの抗原特異的なIgEおよびIgG1産生、さらにはムチンの産生といった喘息症状はあまり低下が見られなかった。したがって、肺においてはIL-33以外にもアレルギー症状の誘導に必要な分子が存在すると考えられ、今後それらの分子の同定ならびに機能の解析を行っていく必要がある。
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