本研究では、病院に勤務する中堅看護師に焦点を当て、職場で発揮している「世代継承性」を明らかにした。逐語データを分析した結果、病院組織に勤務する中堅看護師は、これまでの豊富な経験を通して培ってきた看護実践に含まれる価値や規範を若手に伝承すべきと捉えていた。それらを伝承する際に特徴的であったことは、中堅看護師から若手への一方向的な伝授というよりも若手自らが主体的に思考して獲得してゆくプロセスを重視している点であり、それを可能にするために中堅看護師は若手への直接的な支援ならびに環境づくりを展開していた。
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