研究概要 |
本研究は、在日外国人の介護保険における居宅サービス利用の実態について明らかにし、実情に即した望ましいケアを提供する上での基礎資料とすることを目的とした。WAMNETのデータベースより、大阪市すべての居宅介護支援事業所および地域包括支援センターに所属するケアマネジャー(CM)に対し、無記名自記式質問紙調査票を郵送にて配布し回収した。データ収集期間は2011年2月~3月上旬、回答結果は、記述疫学を主体とした量的データ分析を行った。最終的に1, 065か所の事業所およびセンター所属のCM460名より回答を得(回収率25.6%)、312件の在日外国人の利用者情報を得た。CMが、日本語によるコミュニケーションが困難ととらえている利用者は34.3%、経済状態が困難ととらえている利用者は57.1%におよび、年齢との関連において有意差が認められた(p<0.001)。在日外国人の介護は身近な問題となっており、日本語や経済に困難を抱える後期高齢者が多く含まれていることが明らかになった。支援策を講じる上で前提となる統計整備とともに、多くの課題が示された。
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