以前に客員研究員として勤務していた米国国立衛生研究所のSieving研究室と、網膜色素変性モデルを背景に持つRac1コンディショナル・ノックアウトの作成について討議した。目的とするマウスを作成するためには、網膜色素変性モデルとRac1コンディショナル・ノックアウトマウスを複数回交配させる必要があるため、膨大な数の飼育ケージを必要とする。また検疫を含め輸入手続きに相当な時間を必要とすることが予想されるため、共同研究という形で、米国国立衛生研究所においてこれらのマウスの交配を開始することにした。現在、網膜色素変性としては急性に視細胞が変性するrdマウスとRac1コンディショナル・ノックアウトマウスの交配を開始している。また網膜色素変性モデルとしては慢性に視細胞が変性するMertkノックアウトマウスを入手して、Rac1コンディショナル・ノックアウトマウスとの交配することも計画している。 久留米大学において動物実験計画書を申請し、必要な講習を履修することにより、動物実験を開始できるように手続きを行った。また網膜組織を採取したり、網膜切片を作成したりする作業に必要なシステムを立ち上げた。また網膜組織のタンパク質の解析に必要なウェスタンブロット法、アポトーシスを評価するのに必要なTUNEL染色を含め免疫組織化学を行うためのセットアップを行った。今後は網膜色素変性モデルであるRCSラットに実際にNADPHオキシダーゼ阻害剤を投与して、視細胞の神経保護効果が得られるか実験を進める予定である。
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