研究課題
超短パルスレーザー光を生体組織に照射することによって生じるコラーゲンからの入射レーザー光の半波長光(第2次高調波発生光:SHG光)を観察することによりコラーゲンの配列情報を抽出することのできる顕微鏡を用いて実験を行った。これまでに、黄斑円孔、網膜前膜、増殖糖尿病網膜症、増殖硝子体網膜症患者から摘出したサンプルを用いて、疾患間の膜でのコラーゲン分布、SHG輝度などを観察及び定量することが可能となった。同時に採取している硝子体内の増殖関連タンパクの増減との関連解析を行い、増殖関連タンパクの一つであるペリオスチンがFibronectin,Tenascin-Cと関連が深いことを明らかにした。さらに、コラーゲンゲル上に増殖膜形成細胞の一つと考えられているヒト網膜色素上皮細胞を培養し、播種細胞数、培養条件、時間経過におけるSHG輝度の変化を観察した。SHG輝度の変化は、培養細胞によるコラーゲン線維の再構築を反映する。SHG平均輝度はRPE細胞の播種密度によらず、経時的に増強されることが明らかとなり、TGFβなどの牽引刺激因子存在下では、より短期間にSHG平均輝度の上昇が観察された。この観察系は今後コラーゲン線維の再構築を視点にした牽引性疾患の新規分子標的の新しいスクリーニング法として有用である可能性を示した。一方でMMP阻害薬であるCP471474を用いて、TGFβ刺激によるコラーゲン線維の再構築が抑制されることが明らかとなり、この系を用いる事により、線維化抑制薬の効果確認にも応用可能である。
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