研究課題
多くの亜鉛要求性酵素は、細胞内分泌経路でアポ型からホロ型へと変換され活性化される。亜鉛要求性酵素の組織非特異的アルカリフォスファターゼ(TNAP)の活性化には、分泌経路に局在する亜鉛トランスポーター(ZnT5/ZnT6ヘテロ複合体およびZnT7ホモ複合体)が必要であるが、その活性化機構の詳細は明らかにされていない。申請者は、TNAPタンパク質の活性化は、まず亜鉛トランスポーター複合体によってTNAPが安定化された後に、TNAPに亜鉛が供給されるという2段階の制御によって行われていることを見いだした。そこで本年度は、(1)TNAPの活性化がどのような分子機序で行われているかを明らかにすると共に、(2)分泌経路で活性化されるTNAP以外の他の亜鉛要求性酵素においてもTNAPと同様の活性化機構が存在するのか、この2点について詳細に解析を行った。(1)TNAPタンパク質が亜鉛トランスポーター複合体によって活性化されることから、TNAPと亜鉛トランスポーターが相互作用することによって、TNAPの活性化が行われる可能性が考えられた。そこでTNAPと亜鉛トランスポーターの相互作用を様々な架橋剤を用いた免疫沈降法により調べた。しかしながらTANPと亜鉛トランスポーターとの結合は現在のところ観察できていない。(2)また、分泌経路で活性化される他の亜鉛要求性酵素の活性化機構について調べるために、MMP2やACEなどを初めとする様々な亜鉛要求性酵素の活性を精査した。その結果、それらの亜鉛要求性酵素の活性は、亜鉛トランスポーター欠損株で顕著な活性の変化は見られなかった。今後、分泌経路に局在する他の亜鉛トランスポーターがこれらの亜鉛要求性酵素の活性化に寄与しているか、検討を行う予定である。
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Journal of Biological Chemistry
巻: 286 ページ: 16363-16373
http://www.riken.jp/r-world/research/results/2011/110426/index.html
http://www.rikenresearch.riken.jp/eng/research/6654