研究概要 |
放射線照射後の腫瘍細胞の変性をIn-vivoで早期に、また非侵襲的に評価をする手法を確立することを目的に実験を行った。放射線照射後24時間後の腫瘍細胞において、Mn^<2+>の取り込みが細胞の生存能、細胞周期の変化と相関するか、マンガン造影MRI、各種免疫染色を用いて検討した。Colon26細胞にX線20Gyを照射し、フローサイトメトリーによりアポトーシスおよび細胞周期の評価を行った。照射24時間後の細胞にて、MnCl2含有培養液の下で30分間培養し、7T-MRIにおいてT_1値計測によりMn^<2+>の取り込みを評価した。マウスの両腰部に腫瘍細胞を皮下移植し7日間増殖させ、左側腫瘍にX線20Gy照射を行い、24時間後にGd-DTPAおよびマンガン造影MRIを用いて評価した。MRI撮影後、以下の4種類の免疫染色を行った(Laminin, Cyclin-D1, Activated Caspase-3, Ki-67)。X線照射腫瘍細胞のMn^<2+>の取り込みは非照射細胞に比べ減少し、アポトーシスの増加、G2期での細胞周期の停止が確認された。担がんマウスにおいて、放射線照射後3日目からX線照射側腫瘍の成長の有意な減少が観察された。Gd-DTPAの取り込みは照射群および非照射群では有意な差が確認できなかった。また、Laminin染色において、腫瘍細胞の血管内皮細胞の照射群および非照射群では有意な差が確認できなかった。放射線照射24時間においては、血管内皮の変化は示唆されなかった。一方、X線照射24時間後において照射側腫瘍でのMn^<2+>の取り込みは、非照射側に比べ減少した。Activatedcaspase-3によるアポトーシスの評価では有意な差は確認できなかったが、放射線照射腫瘍におけるKi-67陽性細胞およびCyclin-D1陽性細胞密度の有意な減少が確認された。腫瘍細胞の生存度、細胞周期の変化、細胞増殖能とMn^<2+>の取り込みの相関が示唆され、マンガン造影MRIは放射線治療後の腫瘍細胞の生体内評価に有用と考えられた。
|