研究概要 |
行政保健師は、地域全体を捉えたシステムを構築することを期待されている。このシステム構築の能力を効果につながる能力・行動特性であるコンピテンシーと捉え、まず、コンピテンシーを獲得する上で効果的とされている、リフレクションの促進要因について文献を検討した(検索期間:2001年~2011年3月)。データベースは医中誌とCINAHLを使い、検索単語をreflectionにpromote,promotion,learn,learning,educate,educationを掛け合わせた。該当した文献は和文献2件、洋文献2件と少なく、リフレクションを促進する要因としては、失敗経験、納得できない実践といった気にかかっている状況に焦点を当てること、振り返りには、メンターやコーチとの面談、グループディスカッションといった対話の有効性が明らかとなった。 続いて、コンピテンシー獲得のためのリフレクションを促進させる要因を明らかにするため、地域において住民ニーズの充足をめざしたシステムを構築中である5名の保健師(平均保健師経験25.6年)へ半構造的インタビューを実施した。リフレクションを促進した要因について内容分析した結果、【思考方法のヒントを獲得】【経験の想起による思い込みへの気づき】【文書あるいは口頭による伝え方の自身の傾向の気づき】【対話による熟考できる時間・機会】【試行による成功体験】【所属部署における保健師としての役割の自覚】の6カテゴリーに分類できた。 リーダー保健師が地域のシステム構築に関する実践において、リフレクションを促進させるには、【思考方法のヒントを獲得】するだけでなく、【経験の想起による思い込みへの気づき】や【試行による成功体験】が関与していた。また、【文章や口頭による伝え方の自身の傾向の気づき】が生じることで合意形成が図られていた。これらのリフレクション促進要因には【所属部署における保健師としての役割の自覚】や【対話による熟考できる時間・機会】の確保が重要であることが示唆された。
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