研究概要 |
飲酒は身近な生活習慣であり様々な疾患と密接に関連している。7種類あるアルコール脱水素酵素(ADH)のうち、ADH1B多型(rs1229984)、ADH1C多型(rs698, rs1693482)と飲酒行動との独立した有意な関連が知られている。しかし他のADH遺伝子多型の飲酒行動に及ぼす影響は不明である。本研究ではADH7遺伝子多型について飲酒行動との関連を明らかにすることを目的としている。これにより飲酒開始以前に飲酒習慣を予測し効果的な介入を可能とするだけでなく、現在明らかではないADH7の酵素活性やタンパク構造の変化についても重要な示唆を与えることが期待される。 平成22年度には主にデータベースの固定と遺伝子多型の測定を行った。対象は愛知県がんセンターにおいて実施されている「初診患者を対象としたがん遺伝子多型と環境要因の交互作用の研究」に参加し、遺伝子検索をすることに同意の上血液資料を提供した者である。全ての対象者は院内情報システムにより担がん、非がんの別が判定済みの状態でデータベース化されている。また全ての対象者は参加時点で飲酒、喫煙、家族歴、食習慣等に関する網羅的な質問票調査を実施されている。データベースより非がんの者を抽出し、院内がん登録データや地域がん登録データとの照合を行いがん罹患のないことを確認した。非がんと確定した者のうち飲酒量、飲酒頻度など本研究に必要なデータの得られている者を抽出した。 上記によって抽出された対象者についてTaqMan法を利用したFluidigm社Biomarkを用いてそれぞれALDH2(rs671), ADH1B(rs1229984),ADH1C(rs698, rs1693482), ADH7(rs3737482, rs1154460, rs284787)遺伝子多型の測定を行った。
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