研究概要 |
飲酒は身近な生活習慣であり様々な疾患と密接に関連している。7種類あるアルコール脱水素酵素(ADH)のうち、ADH1B多型(rs1229984)、ADH1C多型(rs698,rs1693482)と飲酒行動との独立した有意な関連が知られている。しかし他のADH遺伝子多型の飲酒行動に及ぼす影響は不明である。本研究ではADH7遺伝子多型について飲酒行動との関連を明らかにすることを目的としている。これにより飲酒開始以前に飲酒習慣を予測し効果的な介入を可能とするだけでなく、現在明らかではないADH7の酵素活性やタンパク構造の変化についても重要な示唆を与えることが期待される。 平成23年度は主に前年度に固定したデータベースを用いて解析を行った。非がんの対象者4519名のうち、ADHの遺伝子多型(4q21-25領域より23のtagSNPを選択)およびアセトアルデヒド脱水素酵素(ALDH2)遺伝子多型(rs671)の測定ができ、自記式質問票にて飲酒情報の得られた4062名を対象とした。 測定したADHの多型のそれぞれと飲酒行動の関連を検討したところ、rs4147532,rs17033,rs1229984,rs1154460が有意な関連を示した。それぞれの遺伝子座の連鎖不平衡(LD)を検討したところ、同一遺伝子内に存在する座位では非常に強いLDを示すほか、ADH5,ADH4,ADH6,ADH1A,ADH1B,ADH1C上の座位はそれぞれ隣接する遺伝子上の座位と強いLDを示した。ADHH7上の座位は5'側と3'側ではLDが比較的弱く、他のADH上の座位とのLDも強くなかった。ハプロタイプ推定を行い連鎖不平衡の影響を考慮した上でも、ADH7の3'側のLDブロック上の多型rs1154460と飲酒行動との間に有意な関連があった。
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