研究分担者 |
清水 洋 九州大学, 理学研究院, 教授 (50178985)
宮町 宏樹 鹿児島大学, 理工学研究科, 教授 (30182041)
中道 治久 名古屋大学, 環境学研究科, 助教 (00420373)
大久保 修平 東京大学, 地震研究所, 教授 (30152078)
森田 裕一 東京大学, 地震研究所, 教授 (30220073)
石原 和弘 京都大学, 防災研究所, 教授 (30027297)
中尾 茂 鹿児島大学, 理工学研究科, 准教授 (90237214)
大倉 敬宏 京都大学, 理学研究科, 准教授 (40233077)
植木 貞人 東北大学, 理学研究科, 准教授 (40004501)
大島 弘光 北海道大学, 理学研究院, 准教授 (10213703)
上嶋 誠 東京大学, 地震研究所, 准教授 (70242154)
鍵山 恒臣 京都大学, 理学研究科, 教授 (50126025)
神田 径 東京工業大学, 火山流体研究センター, 准教授 (00301755)
橋本 武志 北海道大学, 理学研究院, 准教授 (70283588)
野上 健治 東京工業大学, 火山流体研究センター, 教授 (70251676)
森 俊哉 東京大学, 理学系研究科, 准教授 (40272463)
小林 哲夫 鹿児島大学, 理工学研究科, 教授 (70112430)
宮縁 育夫 熊本大学, 教育学部, 准教授 (30353874)
下川 悦郎 鹿児島大学, 農学部, 教授 (60041670)
地頭 薗隆 鹿児島大学, 農学部, 准教授 (50145455)
清水 収 宮崎大学, 農学部, 准教授 (20178966)
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研究概要 |
霧島山新燃岳では2011年1月末に300年ぶりのマグマ噴火が発生した。すなわち,11月26,27日に準プリニー式が起こり,引き続いて山頂火口に溶岩蓄積が4日間続いた。2~4月にはブルカノ式噴火が断続的に発生し,6月からは複数回の水蒸気噴火が起こった。2011 年9月中旬以降噴火は起きていない。この一連のマグマ噴火に先行して水蒸気爆発が繰り返し発生し,火山周辺地域の地震活動が活発化した。さらに,噴火の約1 年前からは,火口の北西約6kmの地下にあるマグマ溜まりの膨張を示す,顕著な地殻変動が観察された。また,地殻変動観察では,準プリニー式噴火や火口への溶岩蓄積に対応したマグマ溜まりの収縮が認められた。準プリニー式噴火に数10分先行して微弱な増圧が伴ったことが歪計解析から明らかになった。ブルカノ式噴火中の火山性微動の発生域は,火口直下からマグマ溜まりまでの間で起こっており,マグマ溜まりから火口へのマグマ移動に対応したと考えられる。ブルカノ式噴火にマグマ溜まりからマグマが移動することが重力的にも確認された。また,この噴火の直前には火口浅部の膨張,火山性地震が増加し,それと連動して火山ガス放出率が減少することが観測され,火道最上部におけるガス閉塞が噴火に先行したことが明らかになった。初期の噴出物には組成の2種類の異なる組成のマグマが認められ,噴火に先行してマグマ混合起こったことが明らかになった。今回の噴火で噴出したマグマの総量は約2500万m^3に達したと見積もられ,300年前の噴火の噴出量の3分の1程度であった。 噴火中には,300年前の噴火や国内外の類似火山の噴火例を参考に,噴火の推移を表す噴火シナリオの作成が試みられた。今回の噴火では顕著な土石流の発生がなかったが,噴出物が主に軽石であったため,顕著な雨浸透性悪化が起こらなかったためと考えられる。2011年1月末の噴火直後から再開したマグマ溜まりへのマグマ蓄積は,2011年末まで継続し,その膨張量は2011年1月噴火前とほぼ同様になった。その後,2012 年に入って山体膨張はほぼ停滞し,火口へのマグマ供給が停止したものと考えられる。
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