1.研究目的:ダンス領域で成果を上げてきた「主体的なダンス学習場面としてのグループ活動」を柔道の学習にも当てはめながら、2つの領域における有効な「活用-探究」の学びについて考察した。 2.研究方法:お茶の水女子大学附属中学校の中学2年生の柔道全14時間、ダンス全14時間を対象とした。柔道「大外刈り」ダンス「序破急」のグループ活動を精緻に分析した。技能指導においては専門家の知見も得て「活用-探究場面」を意識した学習指導を実践した。学習者の活動は、授業全体、および生徒のグループ活動をVTR撮影した。教師行動は、発話記録とVTR撮影で記録した。学習者に対する毎時間の形成的授業評価の調査を行った。分析は高橋健夫らの研究に基づいて行った。 3.研究成果:形成的授業評価と期間記録により、柔道もダンスも評価の高い授業と認められた。専門家の観察により、技能的な成果も十分であると認められた。抽出授業におけるグループ活動は、柔道、ダンスとも、身体活動を伴いながら行われ、教師のかかわりは頻繁であった。柔道では、学習者の発話を拾いながら多様な視点からひとつの方向の原則原理に導くような問いがかけられ、教師が後押しした意見が最終発表内容に生かされている場合が多かった。肯定的フィードバックが矯正的フィードバックの2倍であった。ダンスでは、極限をひきだしつつ各グループを多様な方向に広げる問いや、特に矯正的、肯定的フィードバックが半数ずつ行われていた。指導者の専門種目であるダンスの方が助言は具体的であった。共通課題から多様に広げる方向を持ったダンスと、技能を集約して身につける柔道、どちらも、技能のポイントを教師から教えるだけでなく、学習者が探究する活動を保証し、発表しあい、多様な視点を認めていく指導により、満足感と上達のある学習になると推測できる。
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