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2022 年度 実績報告書

グプタ朝以降のインド仏教における僧院と世俗性

研究課題

研究課題/領域番号 22H00002
研究機関三重大学

研究代表者

久間 泰賢  三重大学, 人文学部, 准教授 (60324498)

研究分担者 加納 和雄  駒澤大学, 仏教学部, 准教授 (00509523)
宮崎 泉  京都大学, 文学研究科, 教授 (40314166)
Forte Erika  京都大学, 人文科学研究所, 教授 (50899979)
苫米地 等流  一般財団法人人文情報学研究所, 仏典写本研究部門, 主席研究員 (60601680)
望月 海慧  身延山大学, 仏教学部, 教授 (70319094)
倉西 憲一  大正大学, 仏教学部, 専任講師 (90573709)
研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2026-03-31
キーワードインド仏教 / 僧院 / 在家主義 / 世俗権力 / 密教思想
研究実績の概要

【総括班】久間(代表者)はkickoff symposium(11月、対面・オンライン)を開催し、本研究を取りまとめた。【写本文献資料研究班】宮崎(責任者)は望月とともにSarvasamayasamgrahaの研究会を開催した(12月、2月)。加納はインド仏教の顕密論を明かすべくNayatrayapradipaを精読し、梵本と和訳の続篇を発表した。また中期大乗経典『央掘魔羅経』を精読し、皮革製品の受用をめぐりケガレの忌避のために比丘が低層カーストとの接触を制限する記述を検討した。倉西はスコイエン・コレクション(MS2170)に収録されている複数の密教文献を一帙にまとめた仏教梵語写本の研究に従事し、写本文化の一端を明らかにした。望月はアティシャの密教文献からインドの僧院における宗教儀礼を分析した。特にGanapatisadhanaとSarvasamayasamgrahaを調査し、僧院と世俗との関わりを考察した。【碑文資料研究班】古井龍介(責任者・研究協力者)は2019年度に開催した国際workshopの論文集の編集を完了するとともに、関連する碑文資料の性格の再検討に着手した。【美術・建築・考古学研究班】島田明(責任者・海外協力者)らはインドとバングラデシュを訪れ、西デカンとベンガル地方の仏教僧院遺構と出土品を調査した(1月)。【データベース作成班】苫米地(責任者)は複数のオンライン研究会を開催し、データベース入力作業と、入力方針の討議を進めた。さらに、イタリアで開催されたITLRデータベース編集会議に出席した(3月)。【外部評価班】フォルテ(責任者)は中央アジア史の専門家を招へいして討議を行い、今後の研究計画を策定した。馬場紀寿(研究協力者)はスリランカの都アヌラーダプラの「大僧院」(Mahavihara)と呼ばれた僧院とその一派で編纂された、パーリ文献の研究を進めた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本研究は、インド仏教における僧院と世俗性との関係について、異なる研究分野と方法論に基づいた複数の研究班の連携を通じて総合的に考察するものである。特に、密教思想の台頭に伴って世俗性が顕著になったグプタ朝以降のインドの諸地域の僧院を対象として調査を進めることを目的としている。初年度においては、各研究班における具体的な研究方針を確認し、研究期間中の活動計画を策定することが求められた。その意味において、11月に対面・オンライン形式でkickoff symposiumを開催し、研究者間で意見交換を行ったことは、重要な意義を有するものとして評価できる。写本文献資料研究班は、後期インド仏教の世俗性に関わる文献の講読会を継続的に実施している。碑文資料研究班も、僧院と世俗性の観点から碑文資料の性格の再検討に着手した。美術・建築・考古学研究班は、インドとバングラデシュで現地調査を実施した。外部評価班は、kickoff symposiumの講演者として中央アジア史の専門家であるValerie Hansen氏を招へいし、中央アジアにおける仏教僧院研究の重要性について注意喚起した。データベース作成班は、複数のオンライン研究会を通じて精力的にデータを蓄積した。ニューズレターについては、第8号(2018~2021年度の基盤研究 (A) では第7号まで刊行済み)を刊行し、研究成果を広く発信・周知することに努めた。以上の点を総合的に判断するならば、本研究はおおむね順調に進展していると言うことができる。

今後の研究の推進方策

今後の研究を推進するにあたっては、特に以下の点に留意したい。
(1) 年度を通じて、各研究班の個別的成果が総合的議論へと展開するように配慮する。具体的には、科研メーリングリストやDropboxの活用を通じて、研究データの共有を推進する。
(2) 国際的・学際的性格を持つ学会などに積極的に参加し、外部の識者からもできる限り多くのフィードバックを得るように努める。
(3) ニューズレターを引き続き刊行する。紙媒体の配布に加えてオンライン公開も並行して進めることで、研究者のみにとどまらず、広く社会全体に対して本研究の目的と意義を発信する。
(4) 僧院と世俗性に関するデータベースの入力・公開を推進し、研究成果の国際的発信を継続する。また、関連する他のデータベースとの効果的なリンクの方法についても検討する。

  • 研究成果

    (32件)

すべて 2023 2022 その他

すべて 国際共同研究 (6件) 雑誌論文 (9件) (うち国際共著 4件、 査読あり 7件、 オープンアクセス 9件) 学会発表 (9件) (うち国際学会 4件、 招待講演 1件) 図書 (6件) 備考 (1件) 学会・シンポジウム開催 (1件)

  • [国際共同研究] ニューヨーク州立大学ニューパルツ校/ジョージア大学/ハミルトンカレッジ(米国)

    • 国名
      米国
    • 外国機関名
      ニューヨーク州立大学ニューパルツ校/ジョージア大学/ハミルトンカレッジ
  • [国際共同研究] フランス極東学院/フランス高等研究実習院(フランス)

    • 国名
      フランス
    • 外国機関名
      フランス極東学院/フランス高等研究実習院
  • [国際共同研究] オクスフォード大学(英国)

    • 国名
      英国
    • 外国機関名
      オクスフォード大学
  • [国際共同研究] ハンブルク大学(ドイツ)

    • 国名
      ドイツ
    • 外国機関名
      ハンブルク大学
  • [国際共同研究] ナポリ東洋大学(イタリア)

    • 国名
      イタリア
    • 外国機関名
      ナポリ東洋大学
  • [国際共同研究]

    • 他の国数
      1
  • [雑誌論文] 大乗の卓越性-Nayatrayapradipa 梵文校訂と訳注(3)-2023

    • 著者名/発表者名
      加納和雄、李学竹
    • 雑誌名

      駒澤大学仏教学部論集

      巻: 53 ページ: 71-98

    • オープンアクセス / 国際共著
  • [雑誌論文] 梵文和訳『讃法界頌』52-86偈(承前)2023

    • 著者名/発表者名
      加納和雄
    • 雑誌名

      駒澤大学仏教学部紀要

      巻: 81 ページ: 83-115

    • オープンアクセス
  • [雑誌論文] 部派と大乗の聖典言語は相関したか―『思択炎』梵語佚文にみる俗語大乗経―2023

    • 著者名/発表者名
      加納和雄
    • 雑誌名

      印度学仏教学研究

      巻: 71-2 ページ: 812-806

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] サンヴァラ系諸文献を収録する一帙の梵語写本について―スコイエン・コレクションMS2170収録文献―2023

    • 著者名/発表者名
      倉西憲一
    • 雑誌名

      密教学研究

      巻: 53 ページ: 61-74

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] On the Ganapatsadhanas of Dipamkarasrijnana2023

    • 著者名/発表者名
      Kaie MOCHIZUKI
    • 雑誌名

      印度学仏教学研究

      巻: 71-3 ページ: 143-151

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] 梵文和訳『サマーヨーガ・タントラ』第5章 1-20 偈―物語りと仮面劇―2022

    • 著者名/発表者名
      加納和雄、伊集院栞、倉西憲一、ピーター・ダニエル・サント
    • 雑誌名

      川崎大師研究所紀要

      巻: 7 ページ: 7-38

    • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著
  • [雑誌論文] アバヤーカラグプタの大乗仏説論―牟尼意趣荘厳第4章(fol. 148r1-150v2)から―2022

    • 著者名/発表者名
      加納和雄
    • 雑誌名

      密教文化

      巻: 248 ページ: 7-38

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] 梵文和訳『牟尼意趣荘厳』-器世間解説後半部-2022

    • 著者名/発表者名
      加納和雄、李学竹、横山剛
    • 雑誌名

      インド学チベット学研究

      巻: 26 ページ: 24-38

    • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著
  • [雑誌論文] 梵文和訳『阿毘達磨集論』(7)2022

    • 著者名/発表者名
      阿毘達磨集論研究会(加納和雄、吉田哲、早島慧、高務祐輝、吹田隆徳、奥田自然、向田泰真、李学竹、松下俊英、横山剛、間中充、田中裕成、中山慧輝、小谷昴久)
    • 雑誌名

      インド学チベット学研究

      巻: 26 ページ: 39-85

    • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著
  • [学会発表] Indian Buddhist Monasteries and Secularity from the Gupta Period Onward: Introduction to the Vihara Project2023

    • 著者名/発表者名
      Taiken KYUMA
    • 学会等名
      5th edition of Bodh Gaya Global Dialogues 2023
    • 国際学会 / 招待講演
  • [学会発表] Tibetans' learning Sanskrit traced in Sanskrit manuscripts2023

    • 著者名/発表者名
      Kazuo KANO
    • 学会等名
      International Academic Seminar for Xizang (Tibet) Education
    • 国際学会
  • [学会発表] 清弁作『中観思択炎』第4章の梵文佚文―『牟尼意趣荘厳』所引の部派大乗経典―2022

    • 著者名/発表者名
      加納和雄
    • 学会等名
      高野山大学密教研究会
  • [学会発表] 声聞による菩薩への礼拝―義浄、月称、東山住部所伝の俗語大乗経典断簡―2022

    • 著者名/発表者名
      加納和雄
    • 学会等名
      日本印度学仏教学会
  • [学会発表] 一切衆生とは誰か―大般涅槃経大経を起点として2022

    • 著者名/発表者名
      加納和雄
    • 学会等名
      日本仏教学会
  • [学会発表] サンヴァラ系諸文献を収録する一帙の梵語写本について2022

    • 著者名/発表者名
      倉西憲一
    • 学会等名
      日本密教学会
  • [学会発表] Dipamkarasrijnanaが説くGanapatsadhanas成就法2022

    • 著者名/発表者名
      望月海慧
    • 学会等名
      日本印度学仏教学会
  • [学会発表] The Esoteric Rituals on the Death and Rebirth Attributed to Dipamkarasrijnana2022

    • 著者名/発表者名
      Kaie MOCHIZUKI
    • 学会等名
      19th Congress of the International Association of Buddhist Studies
    • 国際学会
  • [学会発表] On the sadhana works of Dipamkarasrijnana2022

    • 著者名/発表者名
      Kaie MOCHIZUKI
    • 学会等名
      16th Seminar of the International Association for Tibetan Studies
    • 国際学会
  • [図書] 『大乗荘厳経論』第IV章の和訳と注解-菩薩の発心-2023

    • 著者名/発表者名
      加納和雄(担当:ヴァイローチャナラクシタ作『大乗荘厳経論』注-「発心品」注釈箇所のテクストと試訳-)
    • 総ページ数
      468
    • 出版者
      法蔵館
    • ISBN
      9784831877673
  • [図書] 『大乗荘厳経論』第IV章の和訳と注解-菩薩の発心-2023

    • 著者名/発表者名
      加納和雄、葉少勇、李学竹(担当:Sutralamkaraparicaya発心品)
    • 総ページ数
      468
    • 出版者
      法蔵館
  • [図書] 岩波講座世界歴史04南アジアと東南アジア~一五世紀2022

    • 著者名/発表者名
      馬場紀寿(担当:サンスクリット語とパーリ語のコスモポリス)
    • 総ページ数
      310
    • 出版者
      岩波書店
    • ISBN
      9784000114141
  • [図書] Evolution of Scriptures, Formation of Canons2022

    • 著者名/発表者名
      Norihisa BABA(担当:The Fifth Element of the Sutrapitaka: Rethinking the Canons of Indian Buddhist Monastic Orders)
    • 総ページ数
      458
    • 出版者
      Department of Indian and Tibetan Studies, Universitaet Hamburg
    • ISBN
      9783945151129
  • [図書] Buddha Nature Across Asia2022

    • 著者名/発表者名
      Kazuo KANO(担当:The Mahayanottaratantrasastropadesa of Sajjana: A Reading Sanskrit Text and Annotated Translation)
    • 総ページ数
      495
    • 出版者
      WSTB, Wien
    • ISBN
      9783902501417
  • [図書] Oxford Research Encyclopedia of Religion2022

    • 著者名/発表者名
      Norihisa BABA(担当:Buddhaghosa )
    • 総ページ数
      20
    • 出版者
      Oxford University Press
    • ISBN
      9780199340378
  • [備考] 科研ニューズレター(日本語版・英語版)

    • URL

      https://mie-u.repo.nii.ac.jp

  • [学会・シンポジウム開催] Vihara Kickoff Symposium 20222022

URL: 

公開日: 2024-12-25  

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